あれは確か21歳の時だったと思うが、親戚の結婚式に出る為に北海道を訪れた。
2泊3日で宿泊先はその親戚の家がある恵庭市である。


その1泊目の夜、宮城から来ていた従兄と2人で焼酎を飲んでいた。
720ml25℃をちょうど2本空けたところで従兄が言った、
「ススキノ行くか」時刻は深夜1時過ぎ。
普通はその時間になるとお店は閉まっているのだが、当然そんなことを知るわけもなく、こちらもノリで、
「行ってみよう」ということになり、親戚の車を借り出発、かなり酒が入っているにも関わらずである。


さて、札幌までの道は分かりやすく、従兄も(酒が入っていて)ノリノリで運転していた為、20分後くらいにはほどなく到着。
車を駐車場に停め、ススキノと呼ばれるところを歩いてみることに。
が当然、店が開いてるはずもなく2人で暗くなったススキノを歩き、仕方がないので帰ることにした。
すると駐車場に向かう途中で1人の男(おじさん)が声をかけてきた。
「お兄さんたちマントルってのがあるんだけど、ススキノ独特のやつでマンションでお店と同じことするの、この時間だとお店閉まってるから、これっくらいしかないよぉ」確かこんな内容であった。
いかにも怪しいが、せっかくススキノまで来ておいてただ帰るのも何だったので、とりあえず話しを聞いてみることにした。
男は持っているセカンドバックから女の子の写真が入っているファイルみたいなものを取り出し「どの娘がいい?」と聞いてきた。
それぞれ写真を指さすと、立ち止まって話しをしていたすぐ前にあるマンションに連れていかれエレベーターに乗せられた。
そのおじさんの真骨頂はそこからである。
エレベーターの中でおじさんは言った。
「女の子に騙されてお金取られちゃいけないからこの袋にお金入れておいて」どう考えても怪しい台詞だ。
しかし、酷く酔っていた自分は何の疑いもせずその袋にお金を入れてしまう。そして5階についた瞬間、
「ここだから。」と言って降ろされた。
何がここなんだかサッパリである。
よくわからないので、とりあえずウロウロしてみるが、やはり意味不明(当たり前)ということで従兄が降ろされたであろう8階へ行ってみることに。
やはり従兄もよくわからなかったらしく、話し合った結果、騙されたということになった(もっと早く気付け)。
従兄は袋にお金を入れなかったので実害はなかったが、自分は5万円ほど入れた記憶がある。
おじさんからすれば、いいカモだったことだろう。


素敵に騙された自分たちはその日が結婚式ということもあり、さすがに帰ることにした。時刻は午前2時くらいだったろうか。
駐車場から車を出し、苦い思い出を残しススキノを後にして走ること10分。
今度は道に迷った。
何せ北海道の地で酔っている宮城人と静岡人である。
もう何処をどっちに向かって走ってるのかまるでわからない状態に。
コンビニすら見つけることが出来ずに2時間くらい同じ範囲をウロウロ走り、ようやくローソンを見つけそこの店員さんにどっちに行ったらいいか聞くことが出来た。
しかし、旅はそこで終わらない。
2人ともがその家に来たのが2回目くらいなので近辺までは来れても家には到着出来ない事態に。
時間が時間なので電話をかけるわけにもいかず、推定残り2キロのところで結局1時間近く迷った。
何とか家に到着した時、時刻は既に6時近くであった。


都会は怖い。
と言うか、やっぱ俺って馬鹿だなぁ。